「SNSが強くないホストクラブは大打撃ですよ」…歌舞伎町を揺るがす新たな「2大禁止令」の中身

ホスト

ヤフー引用

道行く女性にキャッチが声をかける――歌舞伎町では見慣れた光景だ。

「お姉さん、ホスト初回どうですか。安くしますよ~」

彼らは複数のホストクラブと提携し、女性客を店に斡旋(あっせん)することで店から数千円の報酬を得ている。地方ではホスト自らが営業時間内にキャッチをすることもあるが、歌舞伎町のホストクラブは客の呼び込みをキャッチに完全外注してきた。

しかし、先月末にそんな″キャッチ事情″が一変した。事(こと)の発端は歌舞伎町のホストクラブに違法な客引きで連れてこられた女性を入店させたとして、東京都ぼったくり防止条例違反などの疑いでキャッチとホストが逮捕された事案だ。これを受け、条例違反とは知りつつも、暗黙の了解で行われていたキャッチがすべてのホストクラブで一切禁止された。今後は逮捕のリスクを避け、完全に自力で新規の客を呼び込む必要がある。

「SNSが強くないホストクラブは大打撃ですよ」

そう語るマサト(仮名・23)は、客数もそこそこの中堅ホスト。現状の顧客で売り上げは立つが、新規顧客獲得はキャッチが呼び込む初回客が頼みの綱だった。

「SNSで有名になって興味を持ってもらうか、自分でお客さんを捕まえにいかないといけない。マッチングアプリで女の子と恋愛関係になって、あとからその子を客にするホストが増えるんじゃないですかね。最初からホストを楽しむつもりじゃない子が、関係を曖昧にされたまま″彼氏″のためにホストクラブにお金を払うことが増えそう。でももう客をつかむにはなりふり構ってられないっすよ」

筆者のスマホにも、数年前に連絡先を交換したホスト複数人から一斉に連絡が来た。内容は「今の店で初回を無料にしたから、よかったら来てくれないか」というもの。キャッチ禁止になってからは、多くの店が「初回無料」と打ち出すことで集客を狙っているという。なかには無料に加えて5000円のキャッシュバックを設ける店舗や、あえて初回料金は取ったうえでテキーラなどをサービスする店舗も。一方、食い扶持(ぶち)を失ったキャッチたちはホストクラブ以外の深夜営業のバーなどへの客引きで食いつないでいるようだ。また、11月30日には消費者庁が、社会生活上の経験が乏しい客に対し、ホストが両思いだと思わせ、ホストとの恋愛関係を継続させるために飲食などの契約をさせる″色恋営業″をデート商法とみなし、支払いを無効にできる可能性があることを周知させた。

「いやいやいや、色恋があるからホスト行ってるんですけど?」

そう語るナオ(仮名・24)は会社員と風俗の兼業をしている。

「俺とお前はただの客と店員です、で恋人っぽい雰囲気のないややイケメンに払うカネって何? 友達と大差ない関係で大金を取られるなんてそれこそ悪徳商法でしょ。アイドルがファンに愛してるよって言ってCD買わせるのもデート商法なんですかね。今、色恋なしで客をつなぎ止められるホストなんていないですよ。そういうやり方しか教わってないし、客もそれを要求してきたんだから。うちら風俗嬢もガチ恋のおっさん客に『いや、あなたただの客なんで』って塩対応していいわけがない」

明言化が野暮な男女の疑似恋愛を楽しむホストクラブ。一定の線引きができていたはずの大人の社交場は、行き過ぎた犯罪行為とともに消えていくのだろうか。

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